韓国にも「土用の丑の日」がある?夏バテ対策の韓国料理

サムゲタン

梅雨が明けるといよいよ夏の到来です。どんよりした空模様から夏空に変わり、強い日射しに「暑くて食欲もいまいち・・・」と、骨身にこたえる人も多いのではないでしょうか。

日本ではつらい夏バテ対策として、ウナギを食べる習慣があります。実は韓国にも、同じような習慣があります。

今回は、韓国版「土用丑の日」について紹介します。韓国の夏にちなんだ慣用句も紹介するので、ぜひ合わせて勉強してみてください。

まるで「土用の丑の日」?韓国の「三伏」

韓国には「三伏の暑さ」(삼복더위/サンボットウィ)という慣用句があります。

これは夏真っ盛りの暑さを表す言葉で、「三伏」は、盛夏に訪れる「3回の伏日」のことです。「伏日」=복날は、ポンナルと読みます。

韓国の伏日は、毎年3回(3日)あります。夏至後の3回目の庚(かのえ)の日を「初伏」(초복/チョボッ)と呼び、その次の庚の日を「中伏」(중복/チュンボッ)、そして立秋後の最初の庚の日を「末伏」(말복/マルボッ)と呼びます。

なお「庚」は十干の7番目となり、十干で数えれば、庚の日は10日に1度訪れることになります。2024年の伏日は、7月15日、7月25日、8月14日です。

一方で日本の「土用の丑の日」は、十二支の「丑」を使います。立秋前の18日間(土用)にある丑の日が「土用丑」となり、2024年は7月24日と8月5日です。

韓国も日本も大暑を迎える時期は最も暑いので、昔から「夏バテ要注意」として覚えられているのでしょうか。

昔はユッケジャン、今は参鶏湯が夏の滋養食

日本の土用丑では、暑気払いとしてウナギを食べますが、韓国で伏日に食べられているものといえば、熱々の参鶏湯(サムゲタン)です。

「暑い盛りに熱い参鶏湯?」と思われるかもしれませんが、韓国には「以熱治熱」(이열치열/イヨルチヨル)という慣用句があります。「熱を以って熱を治める」という意味になりますが、暑いからこそ参鶏湯を食べて夏を乗り切ろうということのようです。

ところで、今でこそ伏日の滋養食は参鶏湯ですが、昔はユッケジャンがその役割でした。古い文献には「伏日に蒸した狗肉と葱を煮たスープを白飯にかけて食べると夏の疲れが和らぐ」と書かれています。

ユッケジャンは漢字で書くと「肉狗醤」。現在では牛肉が使われているので、料理名だけが過去の名残です。

また文献には、「小豆粥を炊いて食べる」のも伏日の慣習と記されています。小豆粥はパッチュク(팥죽)といい、現在の韓国では冬至の季節食ですが、栄養満点で夏の疲れにも効果があったようです。

韓国の夏も日本に負けない猛暑で、伏日に参鶏湯の店に行列ができる光景は、韓国人にとって夏の風物詩です。夏に韓国旅行を予定されている方は、ぜひ本場の参鶏湯で「以熱治熱」を試してみてはいかがでしょうか?